カテゴリ:旭山動物園( 2 )

もうひとりのコロ(続)

昨日に続き、心底冷え込んだ一日。(ちなみにノヴォシビルスクはマイナス18℃。東京の寒さなんて春ですね……)
この二月、都心はいつもと比べてだいぶ雪が少ない気がします。積もったら上野に行こうと思いながら、なかなか行けずじまい……そうこうするうちに、短い二月はもう半分過ぎていました。

帰宅後、届いていた封筒を開けると、中には待ちに待った本が! その後、旭山動物園のコロのことが知りたくて取り寄せたものです。

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先日の投稿で載せた「きたの動物園 旭山のすてきな動物たち」(平成9年、旭山叢書第23巻)。著者は菅野浩元園長、挿絵はあべ弘士さん。すでに絶版のため、古本で購入。

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口絵には貴重なカラー写真がたくさん。右下の写真でお母さん(ユキ)のお乳を飲んでいるのがコロ、檻の向こうに見えるのは、なんとお父さんのシロウ。

キャプションによると「日本初のホッキョクグマの授乳姿」。でもそれ以上に驚くのが、「授乳シーンを間近で見ている雄」。すぐそこにお父さんがいるなんて……(!)
シロウとコロの目が合ってもおかしくない距離ですが、お母さんのユキは落ち着いた様子。(ですが、このことが不幸にもコロの事故につながりました。)

左の写真はシロウとユキの2ショット。美しいペアですね☆

目次を見ると、開園前夜のエピソード、開園時の仲間たち、飼育下で起きた事故、各種催しの記録、etc. 充実の内容。旭山の開園30周年を機に編まれたそうです。

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ホッキョクグマの章では、1968年に野生出身のシロウとユキが来園、73年に日本で初めての繁殖に成功、そしてユキの子育てとコロの成長の裏話が、15ページにわたって生々しく語られています。

なかでも、60年代後半から70年代、防音設備もなく工夫して寝室兼産室を用意したこと、二度目の挑戦で無事に赤ちゃんが生育、産室内へのホースでの給水(!)等々……どきどきするような試行錯誤の様子がなんともリアル。
コロの悲しい事故とその後の成長を回想するくだりは、元園長さんのあたたかい眼差しを感じました。

後半は、若き日のコユキさんのエピソードや、釧路で初めて生まれたホッキョクグマ、コタロウ(タロとコロの子、クルミの長兄、ということはミルクの伯父さん)が来園、コロの妹ハッピーとペアを組むことになった経緯も。
40年近く前に旭山で生きたホッキョクグマたちの人生を、この本のおかげで深く知ることができます。

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上の写真は、ホッキョクグマの章の最後のページに載っていたもの。
キャプションはないのですが、もしかしてコロかな? 生前、お会いしたかったです。

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上の写真は昨年、旭山のお土産でいただいた「き花」の箱。
中身は早々に空になり、我が家のしろくま祭壇に供えられました。

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(裏側に、実はもう一頭隠れています。)

昨年は一度も行けなかった旭山。今年こそ、コロを偲んで再訪できますように。

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by vedett-melk | 2015-02-18 23:24 | 旭山動物園 | Trackback | Comments(0)

もうひとりのコロ

今月に入り、テレビに新聞にますます引っ張りだこの釧路市動物園のスター、ミルク。
今朝、電車の中で突然の報せを受け、言葉を失くしました。

毎日新聞HP 釧路市動物園: 立って遊びます ホッキョクグマ「ミルク」(2015年2月12日)

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上のHPに載っているのは、どれもミルクらしい最高のショットばかり。
ただ、よく見ると、右の耳が半分……なぜ???
ミルクの楽しそうな姿と痛々しい傷の落差に、涙をこらえて一日を過ごしました。

この写真が撮影されたのは11日(ということは水曜日=休園日)。
8日(日)は冬の動物園まつりで、その日のミルクの様子は動物園のHPに載っていません。8日~10日のどこかで、ミルクの身に何かが起きたようです。
最近釧路に行った方から、ツヨシとの顔合わせでミルクが怪我したらしいという話は聞いていました。去年のお試し顔合わせですでに怪我があったといい、今回も心配でしたが、今日の写真を見て……絶句。
しばらく頭が真っ白でしたが、ふと思い出したのが、かつて旭山動物園に暮らしていた雄のコロのこと。奇しくもミルクの母方の祖母と同じ名前です。

旭川叢書「きたの動物園」 昭和50年(1975)ホッキョクグマ「コロ」の思わぬ事故

1974年に旭山動物園で生まれた雄のコロは、一歳になる前、隣の檻にいた父親のシロウに左前肢を嚙みちぎられてしまい、奇跡的に一命を取り留めたホッキョクグマ。その後無事に回復、一時はコユキさんとペアを組んで、1990年に亡くなるまで旭山動物園に暮らしたそうです。

ところが今回、コロの妹のハッピー(1982-2007)もまた、小さいころ檻越しに父親に舌を嚙みちぎられていたことを別の方のブログで初めて知りました。
この悲しい二件に共通するのは、成獣と1歳足らずの仔グマが、檻越し(おそらく一枚)に接していたということ。

ミルクの場合も、2歳とはいえ仔グマであることは同じ。単にミルクの側の警戒心の有無だけではない、根本的な危険が潜んでいたように思います(これまで見てきた限りでは、そもそもミルクは慎重な性格のはずなので)。
いつも遠くから眺めているツヨシがそばにいるのに親しみを感じ、一緒に遊ぼうと近づいてみたら思いがけず攻撃されてしまった、というところでしょうか……(涙)
ツヨシについては、一般におっとりしていると言われていますが、ユキオとの同居を思い出すと、意外と神経質なところがあるのかな? という気もします。

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(2014年11月8日、釧路市動物園)

今回の事故で、誰よりショックを受けているのは現場の飼育員さんのはず。クルミとツヨシに続いての、二頭の同居の成功を心待ちにされていたと思います。
私自身、今の施設の制約では半日ずつしか外に出られない二頭が、広い場所で一日を過ごせたらどんなにいいだろうと思っていましたが……今日のミルクの写真を目の当たりにすると、たとえ雌でも、歳の離れた二頭の同居がはらむ危険を悟りました。
今はただ、耳の傷が癒えるのを待ちながら、ミルクが今後二度と危険な目に遭うことのないよう祈るばかりです。(TT)

もうひとつ、動物園側にお願いしたいのは、何がいつどのように起こったか、把握している限りできちんと発表していただきたいということ。今日(13日)の時点で、動物園の公式HPではミルクの事故についていっさい触れられていません。

(補:過去の例で思い出すのが、2013年に円山動物園のマルルが放飼場のモートに転落した事故。幸いマルルは無傷だったものの、目撃者が複数いたことからかなりの波紋を呼んだと記憶しています。その後、円山動物園はその後の経過と対策をHPに掲載しました→「マルルの転落事故とその後の経過」。今回のミルクの場合、目撃者はなくとも無傷では済まなかったのだからなおさら、動物園側の対応(のなさ)が気がかりです。

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(2014年12月7日、釧路市動物園)


今年に入って知名度がますます全国区に広がり、ミルクに何があったのか、今は無事かどうか、多くの人が心配しています。
起きてしまったことはもはや取り返しがつきませんが、場合によっては命に関わることになりかねなかったのも事実。
それでも私たちがこの事態に向き合い、これからも動物園とミルクを応援していくために、何が起きたか、そして今後の対策を示していただく必要があるはずです。
事故からすでに3日経過している模様ですが、動物園からの公式発表を待ちたいと思います。

片耳を失くしてしまっても、ミルクはミルク。今回の事故を知り、ミルクがいっそう大切な存在になりました。
コロとハッピーの悲劇と同じく、ミルクの事故を記憶に留めながら、これからも成長を見守っていきます。

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by vedett-melk | 2015-02-13 23:03 | 旭山動物園 | Trackback | Comments(2)